渇いた瞳 | ナノ




どれだけ手を伸ばしても、ジャンプしたって絶対に届かない高さにある窓から風が入る。髪が靡いて気持ちいい。ここから見上げる太陽はいつだって遠い。


「また、か。」

「太陽が遠いんだ。」


真っ直ぐ少しでも近付けるように太陽に向かって手を伸ばす。だが、その手は冷たい表情をしたアヤナミに遮られてしまった。テイトの瞳が揺れる。眩い太陽を映していた瞳にアヤナミだけが映る。そして流れるようにテイトの唇を塞いで、離れる。


「お前は、私だけを見ていればいい。」


咄嗟に否定の言葉が出なかったのはほんの少しだけアヤナミの表情が悲しげに見えたから。ただそれだけ。



2012/04/02/偽りマスク

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